前回の記事では、妊娠中・授乳中の方の歯科治療ということで、歯科治療中に妊娠中・授乳中の方から質問をよく受ける“レントゲン写真”、“麻酔”、“飲み薬”が母体および赤ちゃんに与える影響について書かせていただきました(前回の記事をもしご覧になりたい方はhttp://www.good-doctors.net/_ct/16860311をクリックしてください)。
今回はその続きではありませんが、妊娠中によく起こる歯肉炎、妊娠性歯肉炎について書いてみます。

妊娠性歯肉炎とは?

妊娠性歯肉炎という言葉は聞いたことはありますか?その名前の通り、妊娠中の方に見られる歯肉炎です。もう少し詳しく説明しますと、今まで歯ぐきの調子が何も悪くなかった女性の方が、妊娠することによって突然歯肉炎になってしまうことです。ご自宅での歯ブラシで出血してきたり、歯肉が腫れているように感じて(場合によっては痛みを感じることもあります)気づくことがほとんどです。
原因は妊娠初期から中期にかけてつわりがひどい場合に、奥歯の方までしっかり歯ブラシができないことや、妊娠することで体内でのホルモンバランスが大きく変わることに関係しているといわれています。
治療法としては、歯科医院でのお口の中の掃除(歯石取りなど)やご自宅での正しい歯ブラシをすることで歯ぐきの改善を見ていきます。妊娠中の方で上記症状に当てはまる方や、歯ぐきの状態が気になる方は、一度歯科医院を受診してみてはいかがでしょうか。歯科衛生士による正しい歯磨きの方法(ブラッシング指導)を受けることも大切です。

お子様の細菌バランスはお母様と類似

将来元気に産まれてくるお子様の口の中の細菌叢(細菌バランス)はお母様の口の中と類似します。お父様よりもお母様に類似することがほとんどです。
出産を計画・予定している方は、できれば妊娠する前から口の中の環境や体の栄養状態を整えて欲しいのですが、遅くても妊娠中には虫歯をしっかり治療したり歯ぐきの状態を改善して、出産時には口の中もいい状態で元気なお子様を出産して下さいね。それよりもできれば妊娠する前に、歯科治療を終え、妊娠中から口の中のメンテナンスに定期的に歯科医院へ来院する習慣をつけていただくことが、お母様そしてお子様にとって一番の理想です。もちろんお母様だけでなくお父様になる方も、歯科医院から足が遠ざかっている場合は、是非ご夫婦で歯科医院へ行ってみて下さいね。