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——若くして医局に属さずに20代で開業され、医師国家試験のメイン講師という変わった職歴ですね。
自分でも変わっていると思っております。
他の同期とは違う道に進むときは勇気が必要でした。
医師というのは医局に入って総合病院に勤めて当直して研究して論文を書くのが王道かもしれません。そして医局に属していると安定感があります。
そんな中、私は、自分が本当にやりたいこと、得意なこと、必要とされているところで働く、これを優先しました。
自分の場合、疾患ごとに患者を診るというより、開業して患者さんを疾患にとらわれず全人的にみたいという気持ちが強かったですし、研究する力よりは、病気をわかりやすく講義する力に長けていると思い、現在の職業になっています。
自分で決めた道なのでとことんやろうと思えますし、その気持ちを持てること自体がすごく幸せです。是非、他の医師にも慣習にとらわれず、自分の進みたい道に進んでもらいたいと思います。同志募集中です。
——院長と講師の兼任で忙しいのではないでしょうか。
開業医として目黒の地域医療に貢献するだけでなく、
せっかくなら自分が講師として、講義をし、医師として慣れていることを最大限に生かしたいと思います。
また、医者をやめて講師だけすることも可能ではありますが、
それでは本当に医学生に伝えたい授業ではなくなってしまいます。
——本当に医学生に伝えたい授業とは?
今の医学教育には問題点として、医学生の勉強の目的が医師国家試験の合格だけになりがちです。当たり前ですが、医学生は医者になるために勉強するのであって、試験に受かるためではありません。試験のためだけの勉強はつまらないだけでなく身にもつきません。
私は学生に実習が大事であり、患者さんをよく診るように言っています。
医学は教科書だけで成り立つものではなく、患者さんがいてからこそ成り立つものです。
講師である自分も実際に患者さんをみて、患者さんを診るのに必要な講義をしなければいけません。
——医学生から講義がわかりやすくて楽しく大人気だとお伺いしました。
ありがとうございます。
もしも私が医師をやめて講師に専念し、実際の診療をベースではなくて国家試験の過去問をベースとした授業をすればハイペースにたくさん講義を作れますが、そんな過去問ベースの授業はたしかに過去問がすらすら解けるようになっても臨床では生きません。
しかし、学生は、学生のうちに将来のことまではさすがに考えられないので、過去問がときやすくなったり、効率さえよければ満足しちゃいます。私は人気な講義ではなく、真の講義をしたいと考えます。時間がかかっても自分の本当に提供したい講義をして、目先の人気や印税に飛びつかないようにしたいと思います。
過去問をベースではなくて実際の診療をベースに、国家試験にとらわれずに、本当に医学生が勉強しなければいけない ことをきちんと講義し続けたいと思います。
医学生にも講義だけではなく実習と講義どちらも大事にしてもらいたいと思っています。
社会福祉法人 愛生福祉会 上大崎クリニック
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