前回、老人性色素斑、肝斑について取り上げさせていただきましたが、今回はそばかす(雀卵斑)、炎症後色素沈着、ADMについて取り上げていきたいと思います。
目次
そばかす(雀卵斑)
3才以降に発症する鼻を中心に両頬に左右対称に散らばる茶色の小さなシミです。
一つずつのシミは1~5mm大でほぼ均等に並びます。
遺伝的な体質によって発症します。
女性に多く、思春期に目立つようになり、中高年になると目立たなくなります。日焼けや妊娠により悪化する事もあります。
紫外線を浴びると濃くなるので、日々の紫外線には注意が必要です。
レーザーやフォト治療によりいったん完全に取りきることができますが、数年すると再発することがあります。
炎症後色素沈着
何らかのダメージを受けると炎症を起こし、炎症が強いとその後に色素沈着を残します。
ニキビ跡の色素沈着、アトピー性皮膚炎の色素沈着、傷跡の色素沈着、レーザー治療後の色素沈着などがこれにあたります。
放置しても半年以内に消失もしくはかなり薄くなりますので、放置してもかまいませんが、早くよくしたいという場合はハイドロキノンをはじめとした美白剤にて治療を行います。
レーザー治療はかえって悪化することが多いため、通常は行われません。
ADM
今話題になっている色素斑で、厳密にはシミではなく痣の一種です。
雀卵斑(ソバカス)より少し大きいくらいのやや青みがかった褐色のアザです。
両頬に真皮内にメラノサイト(メラニンを作る細胞)が増える疾患で、多くは成人になってから頬や額の両側に現れます。太田母斑の類縁疾患とされています。
アザと聞くと、生まれつきあるものと思われがちですが、成人になって発現するアザもあり、ADMはその代表です。
肝斑と誤診されるケースが多いです。
Qスイッチ付きレーザー治療は保険適応になる事が多く、治療をお勧めしたい疾患の一つです。
最後に
日本人のシミは、一つだけということはむしろ珍しく、老人性色素斑、肝斑、そばかす、炎症後色素沈着、ADMと様々な「シミ」が混ざっている事が普通です。そのためどのようなシミがあるのか十分に見極めた上で治療を行う事が肝心です。