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目次
ボツリヌス菌毒素製剤の現状として
ボツリヌス菌毒素製剤(ボトックス)の注射によるシワの治療は美容皮膚科における代表的な治療の一つで、表情筋の緊張を弱めることで、シワの改善を図ります。
ボツリヌス菌毒素製剤というと、怖いイメージですが、安全性はかなり高く、すでに眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸、小児脳性麻痺患者(2歳以上)の下肢痙縮などに伴う尖足、重度腋窩多汗症などの治療において、健康保険適応を受けています。美容皮膚科の領域では2016年7月の時点では、アラガン社のボトックスビスタによる眉間の縦シワ、目尻の笑い皺の治療が厚労省の認可済みです。ボツリヌス菌毒素製剤の安全性・効果はかなり認知されているものと思っていいでしょう。
ボツリヌス菌毒素製剤のメリット
ボツリヌス菌毒素製剤が筋肉と神経の間の伝達物質を遮断することで、筋肉の過剰な収縮を抑えることができます。また、同様に神経と汗腺の伝達物質を遮断することで汗を抑えます。
治療効果は数ヶ月〜9か月程度しか持続しませんが、むしろその方が好都合で、副作用が起こった場合にリカバリーしやすいといったメリットがあります。もし効果が永久的だと、望まない副作用が起こった際にとてつもない不利益を患者さんにもたらすことになるからです。
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ボツリヌス菌毒素製剤による副作用として良くある誤解
ボツリヌス菌毒素製剤による副作用として良くある誤解が、表情がなくなってしまうのではないか、という疑問です。例えば眉間のシワですが、これは悩んでいる時や苦しい時、悲しい時によく現れるシワで、苦悩や悲しさなどを表します。ですので、そのシワを取ることで朗らかな、明るい、素敵な表情になることができます。ですのでボツリヌス菌毒素製剤を適切に使用することで、表情がなくなるのではなく、むしろ生き生きした表情になることが可能なのです。
目尻のシワも同様です。目尻のシワの場合、眼輪筋という、目の周りの筋肉に注射するのですが、この眼輪筋は目をほそめる方向に作用する筋肉ですので、この筋肉の緊張を弱めることで、シワが改善するだけでなく目が少し大きくなる効果もあります。
その他、ボツリヌス菌毒素製剤には咬筋(エラ)に注射し輪郭を整える、顎のいわゆる「梅干しじわ」に注射し、なめらかにする、といった面白い治療法もあり、安全性も極めて高いのですが、現時点では厚労省の未認可となります。
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ボツリヌス菌毒素製剤の治療法と副作用
注射する際に、内出血になる、といった軽度のものから、(ごく稀に)左右不対象になる、眼瞼下垂(瞼が下がって目が開きにくくなること)といった比較的重篤なものもありますが、熟練した医師が使用すれば重篤な副作用は極めて稀と考えていいでしょう。
ボツリヌス菌毒素製剤も代表的な美容皮膚科の治療法で、シワを改善し予防するだけでなく、表情をよくし、見た目の加齢変化を予防するという優れた治療法で、今後も使用が拡大していくことが予想されます。
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