皮脂欠乏性湿疹は年間を通じて非常に多い疾患ですが、特に冬場の乾燥する時期に急増します。すべての年代の方に見られますが、皮脂線の未発達な小児、もしくはご高齢の方に特に多く発症します。
近年、都市における湿度の低下、冷暖房器具の普及に伴い部屋の中の湿度が低下した事、ボディーソープ等で体を洗いすぎる人が増えた事などにより急速に増え、いまや国民病と行っていいほどの頻度で発症します。
すねの辺り、腰、頚、顔等がカサカサしてかゆくなります。

目次

皮脂欠乏性湿疹の発症のメカニズム

皮膚が乾燥し、そのバリア機能が低下すると皮膚が外部からの刺激を受けやすくなります。その状態で摩擦や石鹸、衣類等の刺激を受ける事で炎症が起こり、かゆみが生じます。さらに引っ掻くことで症状が悪化し、湿疹に至ります。

皮脂欠乏性湿疹の治療法

湿疹があるところには、ステロイド外用薬と保湿剤を重ね塗りします。
赤み、かゆみがなくなったら、ステロイド外用薬を付けるのは中止し、予防的に保湿剤のみを続けるようにします。
治療はそれほど難しい訳ではありません。

皮脂欠乏性湿疹の予防法

① 部屋を加湿しましょう。部屋の湿度は最低でも40%以上は必要です。
② よく体を保湿しましょう。ただし保湿剤を刷り込むとかえって肌に刺激になり症状を悪化させる場合があります。
③ 入浴後すぐに保湿剤を使うようにしましょう。角質の水分は入浴後30分で急速に失われることが分かっています。
④ 入浴時は体を優しく手で洗いましょう。固いタオル等で体をごしごし洗えば、皮膚のバリア機能が低下し、皮脂欠乏性湿疹の原因となります。石鹸(できれば無添加、無香料の固形石鹸)を泡立てて手で優しく洗えば、体の汚れは十分キレイになります。
⑤ 入浴時お湯の温度をあげすぎないようにしましょう。お湯の温度が41度を超えるとデリケートな肌には刺激になる事が分かっています。
⑥ 入浴剤で刺激になるものは避けましょう。
⑦ 肌に直接接触する衣類はコットンのものを使いましょう。化学繊維、ウール等は肌を刺激し、皮脂欠乏性湿疹を引き起こす事があります。