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気温の上昇とともに増える脱水症

健康な身体を維持するために不可欠な体液成分が不足した状態を「脱水症」と言います。脱水症は、身体を維持する体液が失われた状態であるため、単に水分だけが失われるだけではなく大切な”電解質”も同時に失われた状態です。梅雨の時期に入ると気温もどんどん上昇し、熱中症や脱水症になる方げ一気に増加してしまいます。そして、この時期になると脱水症により体調を崩してしまう方も増えるのも事実です。これから本格的な夏を迎える前に、今一度「脱水症」について考えてみましょう。

身体の60%は”水”でできています。

生きるために「水」はもっとも大切なもののひとつ。カラダのおよそ半分は水分で占められています。カラダに占める水分量は年齢によって変わります。小児は生まれた時体重の80%ほどが水分ですが、それ以降は歳を重ねるにつれて水分量が減っていく傾向にあります。成人になると水分量は60%ほどになり、65歳以上の高齢者になると水分量は50%ほどにまで低下します。
カラダに含まれる水分のことを「体液」と呼びます。体液には、血液、リンパ液、消化液、組織間液(細胞と細胞の間を満たしている水)などがあります。
体液の主成分は水。その他に、ナトリウム(Na)イオン、カリウム(K)イオン、カルシウム(Ca)イオンなどの電解質とブドウ糖、タンパク質、尿酸などの非電解質から構成されています。

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脱水の原因はさまざま

脱水を起こす原因は実に様々です。そもそも、体内の水分の量は一定に保たれているのですが、これは、身体の中で摂取する水分量に応じて24時間ずっと腎臓で尿量を調節しバランスを保ってくれているからです。一日に摂取する水分量が少なくなった時は、尿量を少なくし”濃尿”を作り、体内の水分が減らないよう調節しています。逆に摂取水分量が増えた時は、”薄い”尿を大量に作り出すなどして体内水分量を調整しています。しかし、摂取水分量の調整限度を超えた場合、身体の水分バランスが崩れてしまい、脱水症などを引き起こしてしまうのです。
では、実際にどのような状況で脱水が起きやすいか、代表的な例を見てみましょう。

☆ 水分摂取不足☆
 気付かないうちに汗を沢山かいたり、長時間にわたり食事や飲水をしなかった場合に起こります。
☆ 発汗・不感蒸泄の増加☆
 発熱、高温下に長時間さらされたり高温多湿の部屋に長時間いた場合、発汗が増加し起こります。
☆消化液の喪失☆
 胃腸炎等で、下痢症状や嘔吐、高熱による多汗により体内の電解質が失われ、脱水が起こります。
☆ 腎疾患☆
 腎不全、尿崩症、Addison病など尿量を調整する臓器・ホルモンのコントロール不足により起こります。

かくれ脱水症とは?

「かくれ脱水」という言葉は以前はあまり使われていませんでした。しかし、最近は気温の上昇が上げしい夏場になると体調を崩してしまう方の中に、案外「脱水症」が原因となっていることが増えていることが分かってきました。加えて、高齢者の増加に伴い「脱水症」の予防の重要性が更に叫ばれるようになってきたのです。

「かくれ脱水」では、まだはっきりとした症状がなく、カラダが普段の状態に近いために、気づかずにどうしても「かくれ脱水」状態を放っておく人が多いのです。そして、症状に気づいた頃には、すでに脱水症へ移行していることも多く見られました。脱水が進むと、体温を調節する能力が低下しますので、暑い夏には「熱中症」にかかりやすくなります。

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「かくれ脱水」は”いつでも””どこでも”起こりえます。
脱水症は屋内で起こることが、実は多いのですが、マンションのように気密性の高い集合住宅では、風通しが悪くなりがちなため、熱中症のリスクが上がります。また、コンクリート製住宅では、昼間にコンクリートにこもった熱が夜間に放熱されるため、太陽が照っていない夜間ですら気温が上がりやすくなります。窓を閉め切ると更に風通しが悪くなり、汗が蒸発しにくくなるため、簡単に体温上昇が起こり、脱水になってしまいます。

今日から気をつけるべき脱水症予防策

「かくれ脱水」にならないためには、体液が不足するのを防ぎ、体温を一定に保たなくてはいけません。
カラダは栄養素や老廃物の代謝でいつも熱を発生させています。カラダの体温調節機能は、この熱を体外へ放熱して体温を保とうとする仕組み(ホメオスタシス)です。
子どもはこの体温調節機能が未発達であり、高齢者は機能が低下しています。たとえば、高温で多湿、無風な環境、分かりやすくいえばエアコンの効かない夏のマンションなどの屋内にいれば、汗の蒸発による体温調整ができにくいために「かくれ脱水」から一挙に熱中症に発展することにもなるのです。子どもや高齢者には涼しい服装や水分補給などに周囲が十分に注意をしてあげることが重要です。
普通のオトナでも、日頃運動をしない人や、厚着が習慣になっている人、肥り気味の人、ストレスの多い人なども、カラダの体温調整機能が衰え、普段の生活で「かくれ脱水」になっている場合が多く、ほっておくと脱水症や熱中症へと症状が進みやすい人たちです。
暑い日には、屋内にいても、カラダを冷やすものを食べたり(伝導)、涼しい場所を選び(放熱)、汗をかくこと(蒸発)、エアコンのドライ機能に加えて扇風機などで室内の対流をうながすことなどを心がけましょう。

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「脱水症」は、発汗だけでなく飲食の減少によっても起こるので、食欲がなくなる夏場は特に注意が必要になります。また、気温が高まるこの時期では、知らず知らずのうちに脱水症状になっている傾向があるので、注意して水分摂取を心がけることが大切です。これから夏本番に入りますが、かくれ「脱水症」にいち早く気付き、「脱水症」になることなく健康で活き活きした毎日を過ごしましょう。