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以外と多い?夏バテに伴う帯状疱疹の発症

ムシムシとした気候の中、汗をかくことで起こる皮膚トラブルが多くなる季節になりました。日焼けや湿疹などの皮膚疾患はもちろんのこと、夏は以外と”帯状疱疹”による皮膚トラブルで病院を受診される患者様も多くなります。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスの感染に伴って発症する病気です。身体の片側(右半身・左半身等)に”帯状”に疱疹(ブツブツ)ができることからこの名前がつけられました。帯状疱疹が発症した際には、強い痛み・水ぶくれ・発赤が生じる病気で、口のまわりに疱疹ができる単純疱疹とは異なります。通常、健康な人でも、過労・睡眠不足・感冒など体力が弱った際にウィルスが活性化されて発病すると考えられています。免疫力の低下しがちな高齢者の方を中心に発症数が多いとされていますが、最近では20歳代や30歳代の若い世代にも発症が増えているとも言われます。そして、若い世代の方々の発症は、食欲低下や睡眠不足などを伴いやすい夏真っ盛りの時期に増えていることも一つの特徴です。

帯状疱疹の原因は

帯状疱疹の原因は、「ヘルペスウイルス」ですが、これは小児期に「みずぼうそう」を起こすウイルスです。この水痘ウイルス(VZV)はDNAウイルスであり、DNAの長さは150kbp(15万塩基対)、全長は180nmという大きさのウイルスです。

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帯状疱疹の発症

帯状疱疹はウイルスの”再活性化”により発症するものです。”再活性化”ということは、過去に一度ウイルスに感染した場合に発症し、初感染の状態では症状も出ない状態を示します。
帯状疱疹の発症に関係するウイルス感染は小児期に遡り、水ぼうそうが治った後も「神経節」と呼ばれる部位に潜み、その間は症状にも現れてきません(潜伏感染)。しかし、過労や加齢、病気などで免疫力が低下した状況になると、ウイルスは次第に活動を始め(再活性化)ることで、神経と皮膚を攻撃して帯状疱疹を発症してしまいます。

帯状疱疹の症状は、時間ととも変化します。発症初期には、皮膚にムズムズする違和感を感じることが多く、その後皮膚表面の痛みを自覚することから始まります。そのため発症初期にはなかなか気づかず、医療機関を受診しない方も多くいらっしゃいます。
その後、痛みを感じた場所に一致して小さな赤い発疹ができ次第にその大きさ・範囲も拡大し、小さな水ぶくれとなって帯状に広がります。この症状は、神経の走行に一致し、胸から背中・腹部・臀部などに現れます。症状が現れるのは体の左右どちらか片側だけであり、一度に2ヵ所以上の場所に現れることは少ないことが特徴です。

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治療法

帯状疱疹の発症に関して、ウイルスが神経節に潜んでしまうというお話をしましたが、症状発症後も実は神経にも大変な障害を残します。そのため、ウイルスが皮膚や神経に与えるダメージが軽微ない段階、つまり早期に治療を始めることが大切です。
帯状疱疹発症後ウイルスが体中で増殖し、神経や皮膚への攻撃が激しくなり長期に渡ると、その分ダメージが大きくなります。また、神経に傷が残ると、長期間にわたって痛みが消えないこともあり、帯状疱疹後神経痛(PHN)という状況も引き起こしてしまいます。早期に治療を開始することは、ウイルスの増殖を抑制し皮膚の炎症や痛みが重症化するのを防ぐことができるばかりでなく、PHNも抑えることもできます。
一般的に、抗ウイルス薬(内服薬)を服用することで治療を行いますが、重症の場合は点滴治療が必要になることもあります。また、外用薬も併用することもあります。これらの治療を開始し、数日で症状は快方に向かいますが、ウイルス増殖をしっかり抑えるためには、医師の指示に従いしっかりと治療を続けることが必要です。

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