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喫煙者の再発リスクは非喫煙者の2.5倍

昨年末に山形大医学部より、がんの経験者が喫煙すると、がんを再発するリスクが、非喫煙者に比べて2.5倍高くなるという研究成果を発表した。喫煙ががん発症に大きく関わっていることは様々なデータから示されているが、一度治っても再発してしまう可能性についてのデータは乏しかったため、とても興味深い研究結果と言える。

がんの発症原因の大きな1つが「喫煙」

がんの発症はとても複雑で、単一の原因で起こるというものではない。遺伝的な要素や、食事や環境、慢性的な感染症など多岐に渡り、それらが複合的に遺伝子レベルに傷をつけ、本来の抑え込む力を超えたときにがんとなって発症する。そして発症すると自然に消退することは現実的には困難で増殖し続け、正常な体を蝕んていく。それらの原因の大きな一つに喫煙が挙げられている。タバコのパッケージにも警告文が記載されており、がんだけではなく呼吸器疾患や、妊娠への影響も懸念される。

がんの再発期間

がんの再発様式にはいくつかあると考えられている。手術で完全に取りきれたと思っていても、目に見えないがん細胞が実はまだ残っており、時間経過とともに目に見える形になり再発の診断に至るケースや、がん細胞は実際にいなくなっても遺伝子レベルで損傷があるため再度自然発生してくるものなどが考えられる。通常再発を来す時間は数ヶ月~数年と言われている。一部のがんでは10年、20年経過してから再発するケースも散見されるが、概ね短期間で起こることが多い。

患者の抱えている悩みのケアが大事

がん発症に関連するストレスは長年であることが多い。そのため根治治療後に数ヶ月や数年喫煙したからといって、それらが再発の契機になった、とは必ずしも言えない可能性はあるかもしれない。根治治療後に初めて喫煙を開始した方々はそうは多くないと思われるため、おそらくは長年喫煙し、がんを発症し根治しえたが、遺伝子レベルへの影響は取り除かれにくく、その結果またがんを発症してしまった、という可能性がありそうである。だからといって喫煙してよいという理由にはならない。またその裏にある、喫煙を継続したい理由にも着目する必要があるかもしれない。再発するかもしれないという不安に日々悩み続けている方がほとんどだと思われる。その精神的な負担を解消したい目的で止められない方も少なくないのではないか、と感じる。ただ喫煙をやめるべき、だけではなく抱えている悩みに注目して、代替手段を一緒に相談していくことも大事なケアの一つと思われる。