ようやく、暖かくなりお花見も待ち遠しい季節になって参りました。3月20日にテレビ出演(短いですが)したこともあり、湿布についてちょっと詳しく解説してみました。湿布は消炎鎮痛外用剤の一種ですのでまずはそこからはじめていきたいと思います。

【鎮痛消炎外用剤】
【鎮痛消炎外用剤の種類】
【湿布とは何か・・・】
【有効成分と、その有無による世代分け】
【冷感と温感の違い】
【鎮痛消炎外用剤】

目次

【鎮痛消炎外用剤】

湿布は鎮痛消炎外用剤の一種です。まあ簡単に言うと、内服しない痛み止めです。
これらの外用剤は皮膚から消炎鎮痛成分を吸収させることにより効果を発揮します。
いくつか種類があって以下のように分けられます。

【鎮痛消炎外用剤の種類】

1)貼付剤
・湿布剤(パップ剤)
・テープ剤(プラスター剤)
2)塗り薬
・クリーム
・ゲル
・ローション
・エアゾール

【湿布とは何か・・・】

つまり、狭い意味でいうと湿布は貼付剤の中の一種類ってことです。ただあまりにも名が通っているので、一般には貼付剤のことを指して湿布と読んでいることが多いです。ちなみに、貼付剤はチョウフザイと読みます。パップザイではありませんのでご注意ください。
貼付剤と塗り薬の違いですが、貼付剤は消炎鎮痛成分が貼っている間じわじわと皮膚に吸収されるので長時間の効果が期待できます。しかし皮膚がかぶれたりといったトラブルが起きやすくなります。塗り薬系は貼付剤に比べてかぶれにくいのですが、効果が持続しません。なので頻回に塗る必要が出てきます。
では、湿布剤はどんなものかというと、その名の通り湿った布、白くてグニュグニュしたやつです。水分の含有量が多くなっています。テープ剤も読んで字のごとく、テーピングのテープのような素材に消炎鎮痛成分が含まれています。
まとめると、世間一般でいう湿布は正確には貼付剤をさす。湿布をきちんと定義すると、貼付剤の中の一種類になるということです。

【有効成分と、その有無による世代分け】

まず、現在の湿布には飲み薬の痛み止めと同じ成分(非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)が含まれています。インドメタシンとかフェルビナク配合とか宣伝されている物です。これらを第2世代の湿布といっています。第2世代の湿布ではNSAIDsの成分が皮膚から吸収され、皮下の組織にしばらく留まることが分かっています。1日1回しか使用しない湿布は、数時間貼付すると1日中皮下のNSAIDsの濃度が保たれることが分かっているので、1日1回のみの使用になっています。なので何度も張り替えても効果が強くなることはありません。
一方第1世代の湿布といわれるものにはこれらNSAIDsは含まれていません。鎮痛効果が劣る、サリチル酸メチルやL-メントールなどが含まれているだけです。
湿布に含まれる鎮痛成分も時代とともに進化したということです。

【冷感と温感の違い】

次に冷感湿布と温感湿布の違いですが、これは味付けみたいなものです。メントールなどの成分が含まれているとハッカ飴と同じですーっと冷たい感じがします。一方カプサイシンなどが含まれていればぽかぽか暖かい感じがします。ポイントは感じがするということです。これらは冷感や温感を感じる神経の受容体を刺激することによりこのような感覚を生じさせていますが、決して冷やしたり暖めたりする効果はありません。
久光(サロンパスなどを売っている日本ナンバーワンの湿布メーカーです)の試験によれば湿布剤(パップ剤)を張った場合、冷感湿布だと3度、温感湿布だど2度ほど皮膚表面の温度は度低下します。しかもこれらはの温度低下は湿布剤に含まれる水分が蒸発する時の気化熱によるものとされています。さらにいうと筋肉は全く温度変化を来しません。
整理すると、温感湿布も冷感湿布もそう感じるだけで、温度を変化させる効果はほとんどないということです。冷やしたいならアイシング、暖めたいなら入浴などの方法の方が効果は高いと言えます。また、湿布剤(パップ剤)では冷感温感に関わりなく、気化熱のため皮膚のみの温度が低下します。一方のテープ剤(プラスター剤)では被服効果(被われたため)0.7度ほど皮膚温が上昇することが分かっています。
つまり、貼付剤には冷やしたり暖めたりする効果はほぼないと考えてよいということです。湿布を用いるのは痛み止めの成分を吸収させる、冷やっとして気持いい、暖かい感じがして気持ちいい、といったためになります。
ですから、病院で暖めた方が良いと言われたのに、湿布が出たといっても全然普通のことになります。湿布は鎮痛効果を期待していて、決して体の深部を冷やしたり暖めたりすることは出来ないのです。

以上、いかがだったでしょうか。少しでも参考になれば幸いです。