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5月31日「世界禁煙デー」 Stop illicit trade of tobacco products

毎年、世界では600万人近い人々が、喫煙が原因で死亡しています。そのうち約60万人以上が非喫煙者で受動喫煙によって死亡しています。このままでは、2030年までには年間800万人以上が死亡する可能性があると推計されています。

一人が喫煙すると、60種類以上もの発がん物質を周囲に撒き散らしています。

タバコの煙には、約4,000種類以上もの化学物質が含まれており、発がん性物質は、60〜70種類も含まれているのです。非喫煙者の方は刺激臭を嫌う人が多いのですが、それよりも煙に含まれる有害物質は命を奪う可能性を嫌わなければなりません。

タバコの3大有害物質を比較すると、主流煙を1とした場合、副流煙にはニコチンが2.8倍、タールが3.4倍、一酸化炭素が4.7倍も多くみられます(厚生労働省『喫煙と健康』第2版)。
ニコチンは神経毒性をもつ物質で、末梢血管を収縮させ、血圧を上昇させる作用があります。また、依存性があるため、タバコを喫わないとイライラし、なかなかタバコをやめられない原因にもなります。タールは、タバコの成分が熱で分解されてできる粘着性の物質で、ベンゼンなど多くの発がん性物質が含まれています。そして一酸化炭素は、タバコが不完全燃焼するときに発生する物質で、血液中では酸素よりも先にヘモグロビンと結合します。そのためからだが酸素不足状態になり、活動量が低下し、疲れやすくなります。また、血液中のコレステロールを酸化させ、動脈硬化を促進する作用もあります。

このように副流煙は、さまざまな作用をもつ有害物質を多く含むため、その影響は肺がんだけでなく、喘息などの呼吸器障害、心筋梗塞などにまで及ぶことが分かってきています。

副流煙は妊婦さん・高齢者・小児にとっては凶器に等しい

タバコの副流煙の影響で、症状が出やすいのは気管支炎や、喘息などの呼吸器疾患です。また、とくに子供や高齢者は影響を受けやすいので、受動喫煙を避ける必要があります。皆さんは、“Monday Morning Syndorome”という診断名をご存知でしょうか。これは、週末を喫煙者である大人と一緒に週末を過ごした後、受動喫煙の影響で、非喫煙者である子供さんが身体の不調を訴えて、病院を受診する現象を示したものです。小児の受動喫煙による喘息や下気道疾患などの呼吸器感染症等の発症率は、大人が非喫煙者である小児と比較すると、20%~50%も上昇している事が分かっています。
また、妊娠中の喫煙は胎盤血流を減らし流早産や死産、胎児発育遅延を生じることも知られており、授乳中の副流煙でも母乳の中に大量のニコチンの煙草成分が含まれてしまう事が分かっています。
高齢者に関しては、気道の粘膜の脆弱性、煙に対する過敏性など若年者と比較して弱い面があり、副流煙の影響を受けやすいのです。

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世界の受動喫煙対策

世界では受動喫煙の健康被害は明白だとして、全面禁煙化がすすんでいます。先進国で屋内が全面禁煙でないのは日本ぐらいです。海外と比較して、日本はたばこ対策「後進国」としばしば揶揄されているほどです。今一度、禁煙について考えてみてはいかがでしょうか。

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