目次

粉瘤(アテローム)とは?

粉瘤(アテローム)というのは皮膚良性腫瘍の中で最も多い疾患で、皮膚に内向きの袋が形成される病気です。
初めは小さな袋ですが、袋に内部に脱落した角質、皮脂が貯留されて、徐々に大きくなっていきます。

放っておいても直接健康を大きく害するほどのものでもないものの、貯留したものが何らかのきっかけで排出された時は、不快な臭いがすることがあります。また粉瘤に細菌の感染が合併すると炎症性粉瘤と呼ばれ、時に激しい痛みが出て、早急に治療を行う必要が出てきます.

顔などにできると徐々に目立ってきて瘤のようになってしまう、ということもあります。

新しい治療法

治療法は基本的には手術的に取り除くしかありません。これまでの手術方法というのは、粉瘤を含むように木の葉状に切除するという方法が取られてきました。
この場合ですと、例えば2cmの粉瘤を取り除くのに4〜6cmほどの傷を残してしまう、ということになります。 
(図1)

そこで登場したのが臍抜き法(くり抜き法)です.

これは粉瘤の臍と呼ばれる開口部の部分を小さなパンチで穴をあけ、そこから粉瘤の内容物、袋等を抜き出す方法です.
(図2)

臍抜き法(くり抜き法)のメリット

この方法により、傷はこれまでより遥かに小さくてすむようになります。

またこの方法の優れているところは、粉瘤が炎症を起こしてしまっても問題なく手術が行えるという点です.
また粉瘤は痛くなってから病院に行く、という方も多いのですが、これまで方法では、痛くなってからでは切除はできない、という場合が多かったのです.

というのも、粉瘤が痛くなった状態というのは炎症を起こしている状態の事です。これまでの治療では切除した後に傷を縫い合わせることが必須であったため、炎症があると、縫合した傷が生んでしまったり、開いてしまったりするため、とりあえず膿を抜いて炎症が治まるのを待ちましょう、という風に判断されていました。そして炎症が治まった後で改めて粉瘤を切除するという方法が取られていました。

新しい治療法、臍抜き法(くり抜き法)では、縫合を行わない方法も可能なため、炎症があっても手術が可能です.そのため、何度も病院に通う時間のない方には非常に良い治療法です.
もちろん従来の方法よりも小さな傷ですみます。

これらの理由により現在、臍抜き法(くり抜き法)による治療が広がり、粉瘤に対する標準的な治療の一つとなりつつあります。

ただし、極端に大きな症例や、何度も炎症を繰り返し、高度な癒着が想定される場合には、臍抜き法は困難ですので、従来の方法で治療を行うようになります。