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がん治療における、現在の課題や問題点

症状が出てからでは手遅れになる、と世間一般でよく聞くフレーズです。
がんの種類や場所によってばらつきがありますが、診療を行っていると実際そうであることを多く経験します。
がんを根治させるための最も有効な手段は手術であり、取りきるためには周囲や他臓器にがんが拡がっていないことが前提となります。また、画像診断技術が向上していると言っても、最終判断は人間の眼で確認することになり、情報が多ければ多いほど小さいものを見過ごしてしまう可能性もあります。胃カメラですら、行う医師の技術や経験、またそのときに残っている食事残渣によってですら検出力に影響を及ぼします。
一時期ツアーまで組まれるなど話題になったPET検査も小さい腫瘍や転移は見つけられず、がんの種類によってははっきりしないものもあり、どれだけ検査技術が進んでもやはりマイナスの面を持ち合わせてしまいます。
この検査はまだ開発段階なので、検体数をもっと増やしていくと、当てははまらないものも出てくるかもしれないが、今後の臨床応用を見守りたいと思います。

検査よりも、最終的に大切なのは「自分の健康」に興味をもつことです

この検査の最大のメリットは、血液検査のみで判断が可能かもしれないという点だと思います。
進行がんでこの検査を行う意義はあまりないと考えられますが、もし検診などで行う血液検査で、例えば肝機能や尿酸値を計測するのと一緒にがんの有無を検査できれば救われる方は確実に増えることが期待できます。
別枠で予約が必要だったり、多少負担になる検査があるとついつい病院への足が遠のいてしまう方も多いと思います。
この検査で判断できるのであれば受けてみようかな、となり検診を受ける方が増えることを期待したいです。しかし、いずれにしてもこのような検査がどれほど素晴らしいものでも、結局は個々が自分の健康に興味を持ち、検診を受けに行かなければならないし、また一度ではなく定期的にフォローする必要性は変わらないと考えます。