キューバとの国交回復

オバマ政権のレガシーのひとつが、今月正式に発表されたキューバとの国交回復です。

画像: キューバとの国交回復

ロシア、中国、中東イスラム国家などアメリカ中心の世界政治運営へ反旗を翻す動きが活発化している中、お膝元のキューバとの政治、経済的な関係の回復は最近の明るいニュースのひとつです。
ところで、日本における我々医師も無関係ではありません。

重症下肢虚血(じゅうしょうかしきょけつ)の恐怖

我々が期待しているものがキューバで開発された糖尿病性壊疽(とうにょうびょうせいえそ)の薬です。
糖尿病が怖い病気であることはここで強調する必要はないと思いますが、診療に関わる我々が日々頭を悩ませる病態が、重症下肢虚血(じゅうしょうかしきょけつ)です。
糖尿病がある程度進行している患者さんにとって足の壊疽とは非常におそろしい病態です。
足は、心臓から最も遠い場所なので、そこまで至る血管のどこがやられても血行が悪くなります。
また、体は脳、肝臓、腎臓、消化管など主要臓器への血流を保つために、例えば血圧低下時などに四肢への血行を減らすメカニズムを持っていますので、そういったときにも足への血行は悪くなります。
人間は二足歩行をするため、全体重が足にかかり負担は増えています。
そのため、足は皮膚も頑丈で分厚く、皮下組織もしっかりできているのですが、血流が悪くなるとその組織を維持できなくなり小さな傷もなかなか治らないということが起きてきます。
足の血行を改善することが、根本治療ですがこれが難しいため今でも足壊疽から足の切断に至る患者さんは多数いらっしゃいます。

画像: 重症下肢虚血(じゅうしょうかしきょけつ)の恐怖

日本での現状、これからの展望

日本でも、足の血行改善のための内服、注射薬、下肢動脈バイパス、PTA(経皮的血管再生術:カテーテルを挿入して血管を広げる治療)、末梢血単核細胞移植、骨髄単核球移植などが行われていますが、技術的な困難もあり、時間もかかり、また治療を行える施設が限られていることもあり治療に難渋することもしばしばです。
キューバで開発された薬とは遺伝子組み換えEGF(Epidermal Growth Factor)です。1990年代から研究が始まり、2006年にキューバで製剤として認可されました。
以降、南米諸国やロシアなど10カ国以上の国々で認可されて使用されていますが日本、欧米ではほとんど使われていません。

http://www.medicc.org/mediccreview/index.php?issue=23&id=287&a=vahtml

https://en.m.wikipedia.org/wiki/Heberprot-P

画像: 日本での現状、これからの展望

使用方法は簡単で、傷の局所に注射するだけです。先ほど挙げた血行再建などの治療と比べると全く簡単で外来の処置室で行うことが出来ます。
日本でも、10年ほど前に同じように注射するだけの治療薬(HGF:肝細胞増殖因子、アンジェスMG社)の治験も行われていますが製剤までには至っていません。
一方、重症下肢虚血病変のある患者さんはまだまだ増え続けています。
今回の、アメリカキューバの国交回復を機にこのような新しい治療の選択肢が増えることを待っております。

This article is a sponsored article by
''.